なんかの日記

精神のデフラグをしている。

初めての抗不安薬

初診の帰りに薬局に寄り、お薬を貰った。

帰宅してちょうどお昼ご飯の時間だったので、食事を摂った後お薬を飲んでみることにした。

その時にはもう怒鳴り声が常に意識の中に在り続けるような状態で、薬が効くかどうかは半信半疑だったけれど、飲んでから数十分経った頃から怒鳴り声が途中で霧散するようになった。
霧散というか、怒鳴り声をずっと感じる状態は続いているけれど、途中からそれが気になりにくくなった。

薬が効いているときは、他の不安も薄れることに気付いた。例えば私はいつも何かの作業をするとき、否定的な捉え方をしたりどうせ失敗すると思ってしまうことがあるのだけど、その辺の不安も小さくなることに気付いた。
結果的に、自己肯定感のようなものも少し安定していった。

ところが、特定の状況ではより怒鳴り声が強くなることにも気付いた。特定の状況というのは、何かに対して強く集中している時だとか、比較的緊張感を要する作業をしている時だとか、そういうのが多い。

とりあえず生活に大きな支障が出ることは少なくなりそうだった。

初診

雑居ビルの一角を改築した、明るい木目調の内装が印象的な心療内科におそるおそる踏み込んだ。

問診票の記入を終えると整理番号を手渡された。どうやら待合室では私は整理番号で呼ばれるらしい。
なるほど、確かに心療内科で身バレすると色々大変だものね。

とりあえず今までの状況を整理しながら待っていると、診察室からお呼び出しを受けた。

ひとまず問診票を取っ掛かりにいくつか質問を受けて、それに回答していく形で会話が始まった。
お医者さんの反応はとても冷静だった。今の私の状況を特定していくという意味では、ある意味トラブルシューティングを受けているような感覚だった。
私としても、今の状況は原因不詳のバグみたいなものだし、それを何とかしたくて来たのだし、下手に感傷的に反応されたりするよりも安心感があって落ち着く。
ブルースクリーンが出てしまったときのパソコン側の視点ってこんな感じなのかしら。

そして一通り話し終わると、どうやら私の状況は「病名は付かないけれど、不安障害関連のもの」だと説明してくれた。
さらに、短時間で効いて短時間で効果の切れる抗不安薬を処方してくれるらしい。

診察は思いの外すぐに終わって、あとは処方箋を受け取るなどして初診を終えた。

事の発端

ある日、高校の頃の部活顧問の怒鳴り声が頭から離れなくなった。


高校生の頃、私は吹奏楽をしていた。
部活の顧問は、普段は陽気で明るいけれど、ある日いきなり昨日まで何でもなかったことに激昂するような人だった。

ある日は合奏始めに、苛立った様子で突然特定のパートを名指しして一番難しい箇所を吹かせて、3回ほど失敗したところで「そんなのも吹けない奴なんか要らないんだよ!!」と絶叫したり、

ある日は合奏開始直前、パート練習に使っていた校舎の普段から開けっ放しにされている通用扉を見て「君たちは戸締りも出来ないの!?」といきなり声を荒らげ、特に部長や副部長の責任だと主張して強い罵倒の言葉を口にしたり、

ある日は新入生中心で編成されたチームの初めてのホール練習でなかなか音がまとまらず「時間の無駄だから帰れ!!!」と練習を中止させ、必死に頭を下げる新入生たちに「邪魔だから帰って」「君たちみたいな人は要らないから出て行って」などの言葉をぶつけた後、何度も何度も謝罪し続ける新入生たちを一切無視して上級生チームの練習を強行したりすることもあった。

当時、私を含む部員はそれを受け入れていた。きっと間違っているのは自分たちの方なのだと信じていた。
自分たちは意識が低くて、上手くなるにはもっともっともっと必死に頑張らなければならないと、部長はいつも言っていた。

思えば、その頃にはもう私は毎日生きるのが苦しかった。
でも自分が苦しいと言ったところで、部員にはやる気がないと思われるだろうし、クラスメートにはそもそもそんな暗い話出来ないし、親に話したらむしろ私の方が悪いと言われてしまった。

誰かに相談するメリットよりデメリットの方が遥かに大きくて、誰にも相談しないことが最適解ということに気付いた。

通学路の駅のホームに走ってくる電車の、線路と車体の間の空間に自分の体が引き寄せられそうになる感覚を今でも覚えている。

大学受験は上手く行かず、浪人を決めた。予備校での時間は部活時代に比べれば充実したものだった。

大学入学後の生活は打って変わって平穏だった。グループワークで他人の仕事を押し付けられて怒りに震えたり、接客のアルバイトで客に八つ当たりされて凹むことは多少あったりしたけど、友人に恵まれて楽しい時間を過ごすことが出来た。時々高校の部活顧問の声を思い出してパニックになることはあったものの、初めはちょっと疲れているだけなのだろうと思っていた。


大学院の授業開始を控えた今年の4月上旬、突然高校の部活顧問の怒鳴り声が頭の中に鳴り響き、そのまま止まらなくなった。

大学にいる間、徐々に高校の部活で体験した出来事が深いトラウマになっていることに気がついた。 普段から心に蟠りがある時はなるべくそれを言語化して、どうすれば良いのか考えるように努めていた。
一時期は自分の精神状態がPTSDに近いことに気づいて、代表的な治療法(いわゆる認知行動療法)を自力で出来ないか試したりもした。

今まで、ある程度の時間を割いて私なりにこのトラウマへの対処を考えてきたつもりだった。ここ最近は思い出してパニックになる頻度も少なくなってきているところだった。

なのに、その日は顧問の怒鳴り声が収まらなかった。頭の中で罵声を上げる顧問に呼応して身体が震え、恐怖のあまり自室で叫び、途絶えることなくパニックの状態が継続した。

そして思った。

もうお手上げだ

私一人ではどうすることもできない

そして、私はいわゆる心療内科と呼ばれる病院に、初診の予約を入れることになった。


このブログには、私の心療内科への通院記録と、精神に関わる気づきを記録する。

記録するだけならスマホのメモアプリにでも残せばいいのだけど、折角だからブログとして、日記のような形で残してみたいと思った。

文字に書き下すことで気持ちが整理されるようで少し楽になるし、個人的に感情を言語化する訓練もしたいと思っているところだった。

今日は貰った薬の副作用で眠気がやってくるまで、今日までにあったことを記事にしていきたいと思う。